春一番の闘魂注入!! また見せてよ「猪木芸」!!!

「猪木芸」の第一人者

生涯「アントニオ猪木芸(以下、猪木芸)」をその最後まで貫き通したと言っても決して過言ではない芸人、春一番。とことんまで究め抜いた猪木芸は、絵画や陶芸などの匠達と同様、人間国宝モノの粋である。春一番という芸名からして、芸人として実にアッパレな生きざまだったと言えよう。ただ、2014年に肝硬変で、47年という人生の幕を下ろすには余りにも早すぎた。

こんな今の時代だからこそ見たかった!本当の芸人魂!本当の猪木芸を!

他に比類なきキング・オブ・猪木芸

「猪木芸」といえば、古くは、井手らっきょや鈴木寿永吉(末吉)。更にもっと遡れば、佐々木つとむなどが持ちネタとしてお茶の間を爆笑させてきた、ジャイアント馬場とプロ野球の長嶋茂雄と並んで、ものまね三大スポーツ選手として、ものまねの鉄板ネタである。

アゴをしゃくれさせ、「なんだコノヤロー!」とポージング。もっと尺が許されれば、黒タイツ一丁で、赤いタオルで首をゴシゴシアリキック!的なムーヴメントが定番であり、お約束であった。

そして最近は、アントキの猪木やアントニオ小猪木などのよりアグレッシヴな動き系で、現役時代のアントニオ猪木をオマージュしたものまねが系譜なのだが、このご存知!我らが春一番が相容れない唯一無二の猪木芸と言われる所以は、猪木らしい動きなどは極力排除した全編「語り」だけによるものまね、いわゆる『語り芸』で、アントニオ猪木を構築しているところだ。

時折入る、特徴ある猪木の笑い方「ムフフフ…」は、もはや猪木芸としてのものまねの笑い方なのか、春一番自身の笑い方なのか判別しにくいくらいまでの精巧さである。猪木信者には、何とも言えないたまらない恍惚感とオーガズムに浸らせてくれるのだ。

まさに、春一番こそが、キングオブ猪木芸なのだ!

「十年もつ体が一年ももたない…」を地でいった人生

「こんな試合を続けていたら、10年もつ体が3年ももたない……」

これは、アントニオ猪木が、全盛期の頃に敢行した異種格闘技戦の真っ只中の時に、ポロッと本音とも取れる内情を吐露した名言だが、実際の猪木は、この発言から約20年以上もの間、現役を続ける事になるのだが、ご存知!!我らが春一番は、まさに、この言葉通りの人生を送る事になった。ある意味、本家を凌駕していると言えよう。

では何故、春一番の体がそんなにも持たなくなったのか?最大の原因は『酒』である。

この男から酒と猪木を取ったら何も残らないんじゃないかというくらい、春一番は酒が大好きだった。ある時、酒の飲み過ぎで入院しても、その入院先の病室でも飲んでいたという春一番。この男にとっては、酒は、藤原喜明ばりのスポーツドリンク感覚だったのではと思われる。他にも、春一番の酒にまつわるエピソードはある意味、プロレスラーよりもプロレスラーらしい酒豪っぷりと言え、数え上げたら枚挙にいとまがないくらい、まぁ出てくる出てくる……。冷や麦や冷やしそうめんの付けつゆ代わりに日本酒を愛用していただとか、いびきをかくほど完全に寝入っているのに、無意識に身体が酒を欲しがり、まるで夢遊病者のように酒を飲みだしたりと、どこかほんわかしたモノばかりなのだが。

芸人仲間の宴会に駆けつけでバーボンのロックを軽く1ℓ飲み干す飲みっぷりと、どこか昭和臭漂う昔ながらの芸人風情の感があった春一番は、やがて、ビートたけしの目にも留まり、次第に可愛がられていくのだが、ただし、「酒の飲み方だけは何とかしろ!!」と、たしなめられるほどだった。「けど、アイツから酒を取ったら、何もねえしな」とも、言わしめたほど。

「本家」からの愛情ビンタ

とうとう2005年には、春一番は酒の飲み過ぎからくる腎不全や肺気胸など、ありとあらゆる内臓の病気を併発させてしまい、度重なる手術で入退院を繰り返すことになる。

ICUに入り、医師たちも半ば諦めかけていたところ、ナント、誰に聞いたのか、サプライズで本家のアントニオ猪木が見舞いに訪れ、チューブ等でがんじがらめになっている春一番に向かって、お得意の闘魂注入ビンタを喰らわした猪木。何と、しばらくして春一番は、奇跡的に回復したのである。何とも、都市伝説的でオカルト話ではあるが、春一番と猪木の関係を考えると、無くはない話ではある。

春一番にとって、アントニオ猪木が、何よりの気つけ薬なのであろう。

語り継がれて記憶に残り続けて、ダァーーーッ!!

親交のあった芸人や知人で、春一番を悪く言う人はまずいない。春一番の話になると、皆一様にして穏やかに、にこやかに、そして和やかな雰囲気になる。それだけでもう春一番の人柄を表していると言えよう。

いつもイジられ、憎めなくて愛されていた春一番。猪木が引退試合の際、詩『道』を語った時の完コピの中で、マイクコードをまたぐところの所作までコピってみせた春一番は、これからも永遠に語り継がれていく事だろう。

どこかの制作会社さん!お願いです!!

春一番の不朽の名作ベストのDVDとブルーレイを作ってくれませんか?  是非!!!

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